行列の強烈な性質
いきなり特異値分解を用いるが、名前にびびらず、この表現に注目しよう。
固有値分解に似た行列の分解だが、
固有値分解は対称行列に適用できるが特異値分解は全ての行列に適用できる。
正方行列Aは2種類の直交行列U,Vと対角行列Δにより、それらの積で表される。
( ’は転置を表す)
これを知り、衝撃が走った。
即ち、
一般の行列が 「 回転(1) ー 軸方向の伸縮 ー 回転(2) 」で表される
という強烈な性質を示している!
これを強調したい。こんなシンプルな表現になるのだ!
ここでは、詳述しないが、ベクトルに対して直交行列は座標軸の回転、対角行列は座標軸方向へのベクトルの成分の伸縮を表すと考えて下さい。
2×2行列位しかイメージが沸かなかった行列に、一気に親しみを覚えた。初学者でもこの事実を知ることで苦手意識が薄れるのではないだろうか。
このような行列の性質を示す特異値分解は長方形の行列にも適用できるのでこれを用いて色々な線形代数の性質を一般的にシンプルに議論することができる。いきなり、これを説明する教程も考えられるのではないか。
ジョルダン標準形より、特異値分解を勉強した方が線形代数の本質を捉えることができ、応用も広範であると考えている。
また、この性質は線形変換が同様に表されるということでもあり、一般の線形変換もこのような変換の合成で表されるということだ。一般の線形変換が。