行列が表すもの
線形代数は、まずは行列を学ぶことだと言える。
行列Aは何を表しているのか。
見た目はシンプルで、値が矩形に並んだ集まりである。
これが、行列とベクトルの乗算、行列同士の加算、乗算などが
定義されると豊かな代数構造が広がる。
行列は具体的に以下を表す。
(1) 線形方程式の係数の集まり
線形代数の導入では、行列は連立1次方程式の係数を集めたものが
登場する。
連立1次方程式
がある場合にベクトルx, b, 行列Aを
と置き、
と表す。
(2) 1次変換 (線形変換) を表す
1次変換
を(1)と同様にx, y, Aを
と置き、
と表す。関数のようにyを左辺に置くことが多い。
ベクトルxが、行列Aを乗算することによりベクトルyに変換される。
x, yをn次元の座標と考えると座標を変換することになる。
(3) 代数の対象要素
元々は(1)や(2)を表す行列だが、行列同士の乗算、加算できることから、
行列自体が代数の要素となる。
また、行列は「行列の乗算」を「演算」として群をなす。
(4) データの集まり
表作成ツールのデータが一例である。
通常、行と列はある属性が共通のものが並んでいる。
従って列ごとの合計を求めたり、データを比較することが
意味あるものになる。
そうでないと矩形に並べることの有効性は乏しい。
機械学習では教師データを行列の形で表現し、
予測する数式をそれを用いて表すなどの利用法がある。